粉雪2-sleeping beauty-
『…ねぇ、マツ…。
ルミちゃんとナベくん…どーしよっか…。』


「…俺から…言っとくから…。
だからお前、何も心配するなよ。」


ベッドに腰を下ろした千里に、新しいミネラルウォーターを差し出した。



『…優しいんだね、マツは…。』


差し出されたミネラルウォーターを受け取り、千里は少しだけ笑った。



『…良いよ、あたしのことでしょ?
明日、自分の口から言うから…。』


「…でも―――」


『もぉバレちゃったんだし。
河本が変なこと言っちゃったから、勘違いされてるじゃん?』


おどけたように言う千里に、胸が苦しくなる。



「…言えるのか?
お前の口から、全部話せるのか…?」


『―――ッ!』


俺の言葉に、次第に千里の顔が引き攣っていく。



「…任せとけよ、俺に。」


ゆっくりと言葉を掛ける。


ため息をついて俯いた千里を見つめた。



『…あたし、マツのこと利用してるのかな…?』


そして、自嘲気味の笑顔を向けられた。



「…さっき俺が言ったことは、気にするなよ。
ホントに、そんなつもりで言ったんじゃねぇから…。」


『…でも―――』


「とりあえずお前、寝ろよ!
な?もぉ、考えすぎなんだよ、お前は!」


不安そうに見つめる目をしっかりと見据え、言葉を続けた。


「…あんま心配さすなって、何回も言わせるなよ!」


『…うん、ごめん…。』


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