粉雪2-sleeping beauty-
「…寝れるか、お前?」


ベッドに入った千里に、声を掛けた。


俺は床に腰を下ろし、ベッドに背をつける。



『…わかんない…』


寝返りを打ってこちらに顔を向けた千里の声が聞こえてきた。



「…じゃあ、何か話してやろうか?」


煙草を咥え、少しだけ振り返って笑った。



『…うん、聞きたい…。』


返事を聞き、思い出すように天井を仰いだ。



「…中学の頃さぁ、まぁ俺も、あんま学校行ってなくてな?
あれは、中2の新学期だよ。」


『うんうん!』


全く寝る気のなさそうな、ワクワクした声が聞こえてくる。



「…クラス替えのことが気になって、始業式に行ったんだよ。
そしたらその日、転校生が来てな?」


遠い昔を思い出し、少しだけ笑った。



「まぁそれで、成り行き上、喧嘩になるじゃん?(笑)」


『あははっ!どんな成り行きよ!』



それから俺は、広島弁のその男のとの喧嘩の話をした。


“何喋ってるかわかんねぇ”とか、そんなカンジのこと言ったら、

千里はすげぇ笑ってて。


何だかんだで仲良くなって、一緒に族を始めたことを話した辺りで、

千里の寝息が聞こえてきた。



俺の隣で、安心したように眠る。


その姿に、少しだけ笑った。



…襲われても知らねぇぞ、馬鹿が…。


そして、寝息を立てる千里の布団を直し、ソファーに向かった。


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