粉雪2-sleeping beauty-
―――煙草を咥えると、ドッと疲れが襲ってきた。


河本は、きっとまた来るだろう。


そしたら俺は、千里のこと守れるのか…?


てゆーか、真鍋とルミに、何て説明すりゃ良いんだろう?


全部話すべきなのかな?


でもそしたら、また千里が好奇の目で見られちまう。



隼人さんなら、有無を言わさず殴って言うこと聞かせるんだろうな。


あの人は、何が何でも千里を守り抜くから。


…でも俺、自信ねぇわ…。




俺はただ、お前が壊れるのが怖かっただけなんだよ。


最善の策なんて、何も思いつかなくてさ。


“隼人さんなら、どーするか”ってことばっか考えてた。




結局、机の上に広げた書類なんて片付かなくて。


給料日も近いし、次の現場のこと考えなきゃいけないし、

名簿だって出さなきゃいけないし。


考えることだけが増えて行くのに、何一つ解決出来ていない。


灰皿には煙草のピンカスばかりが増えて行き、

比例するように俺の中の不安も広がっていった。




俺はさぁ、最終的に、逃げれば良いって思ってたんだよ。


昔、組から逃げたときのように、

全部投げ出して別の街に身を隠せば良いと思ってたんだ。



“あたしは、この街で暮らすって決めたんだよ!
何も悪いことしてないのに、何で逃げなきゃいけないの?!”



…それでお前が傷つくことになっても、ホントに良いのか…?


また、今みたいに泣いて…。


見てる俺の方が、辛いんだよ。


…先に壊れるのは、俺の方なのかもしれない…。


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