粉雪2-sleeping beauty-
泣けるくらい笑ってやったよ。


本当に、二人で幸せになって欲しかった。




「…指輪、何で一緒に持って行かないんすか?」


『…堅気になるって決めたことだし、安モンでも良いからちゃんとした金で買ってやるよ。
アイツ、本当は俺の仕事嫌ってるんだ。
口には出さなかったけど、いっつも不安そうにしてた…。
もぉこれからは、あんな顔させねぇから。』



その言葉を聞いて、ただ安心した。



「…頑張ってくださいよ…。
俺、応援してますから。」


『…出来るなら、お前も堅気になれ。
俺が言える台詞でもねぇけど、人が良すぎるお前には向いてねぇよ、この仕事。』



最期に見た笑顔は、多分、千里の前で笑うのと同じ顔してたと思う。


だから俺は、お前に感謝してるんだ。



最期まで、あの人と一緒に居てくれてありがとう。


独りで逝かせないでくれて、ありがとう。


あの人を変えてくれて、ありがとう。



そして、俺を独りにしないでくれて、ありがとう。



お前が謝ることなんて、ないんだからな?


俺はもぉ、十分だよ。




隼人さんと別れた後、全てを片付けた。


真夜中の海に車捨てて、アパートにあった書類も全部燃やした。


トランクルームの中身も全部処分したよ。


何往復もして、それこそ夜通しだった。



朝一で、あのCD-ROMを警察に持っていく予定だったんだ。


なのに俺は、眠ってしまった。


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