粉雪2-sleeping beauty-
「…あの事件の引き金になったのは、一人の男の存在なんだよ。
その男が動いていたことで、当時若頭だった河本の立場が危うくなったんだ。
そして、後に内部分裂に発展したんだよ。」
静かな部屋に、生唾を飲み込む音が響く。
俺は立ち上がり、イッパイになった灰皿のピンカスを捨てた。
『…その“男”ってのは…?』
背中から、真鍋の問いかけが聞こえる。
その問いに一度呼吸を落ち着かせ、ゆっくりと口を開いた。
「…去年死んだ、千里の男だ。」
『―――ッ!』
目を見開く二人に、言葉を続ける。
「…前にも少し話したろ?
その男は、俺の兄貴分でもあった。」
再びソファーに座り直し、新しい煙草を咥えた。
『…じゃあ、ママの“彼氏”って…』
「…死んでるんだよ。
アイツは、未だに思い続けてるけどな…。」
自嘲気味に笑うことしか出来ない。
二人の時は止まってしまったみたいに、
まばたきすらも出来ないほどに、目を見開いていた。
「…言ったろ?真鍋…。
アイツに“結婚”とか言うなって…。」
『―――ッ!』
『…え?真鍋さん、結婚するの??』
驚いたように、ルミは真鍋に向き直った。
『…あぁ、うん…。』
状況が整理できてないのか真鍋は、生返事がやっとだった。
「…本当はこの街で暮らすのは、俺じゃなくてその人だったんだよ…。
本当だったら千里は今、その男と結婚でもしてるはずだった…。」
皮肉を込めて笑い、天井を仰いだ。
その男が動いていたことで、当時若頭だった河本の立場が危うくなったんだ。
そして、後に内部分裂に発展したんだよ。」
静かな部屋に、生唾を飲み込む音が響く。
俺は立ち上がり、イッパイになった灰皿のピンカスを捨てた。
『…その“男”ってのは…?』
背中から、真鍋の問いかけが聞こえる。
その問いに一度呼吸を落ち着かせ、ゆっくりと口を開いた。
「…去年死んだ、千里の男だ。」
『―――ッ!』
目を見開く二人に、言葉を続ける。
「…前にも少し話したろ?
その男は、俺の兄貴分でもあった。」
再びソファーに座り直し、新しい煙草を咥えた。
『…じゃあ、ママの“彼氏”って…』
「…死んでるんだよ。
アイツは、未だに思い続けてるけどな…。」
自嘲気味に笑うことしか出来ない。
二人の時は止まってしまったみたいに、
まばたきすらも出来ないほどに、目を見開いていた。
「…言ったろ?真鍋…。
アイツに“結婚”とか言うなって…。」
『―――ッ!』
『…え?真鍋さん、結婚するの??』
驚いたように、ルミは真鍋に向き直った。
『…あぁ、うん…。』
状況が整理できてないのか真鍋は、生返事がやっとだった。
「…本当はこの街で暮らすのは、俺じゃなくてその人だったんだよ…。
本当だったら千里は今、その男と結婚でもしてるはずだった…。」
皮肉を込めて笑い、天井を仰いだ。