粉雪2-sleeping beauty-
♪~♪~♪

着信:千里


タイミングが良いのか悪いのか、千里からの電話が鳴った。



―ピッ…

『ちょっとマツ!
アンタ今、何やってんのよ?!』


その瞬間、怒鳴り声に驚いて携帯を耳から離した。



「…何だよ、起きたのか?」


煙草を咥え、ため息をついた。


視線の先には、先ほどまでと打って変わってニヤついている真鍋とルミの顔がある。



『…“起きたのか”じゃないわよ!
何なのよ、この書類は?!
こんな適当なこと書いてて、内容がわかるわけないでしょ?!』



…何だよ、そんなことか…。


てゆーか俺、寝てないんだけど…。



「…なぁ、昼飯行かねぇか?」


『ハァ?!話変えるな!
誰が請求書作ってやったと思ってんの?!』


「…出来たんなら、良いだろ?
つーか、行くのか行かないのか、ハッキリしろよ。」


怒りながらも、千里は来ることになり、それを聞いて電話を切った。


怒鳴り声が、未だに耳に残っている。



『ゴチになります、社長!』


『です、社長!(笑)』


目を輝かせた真鍋とルミに、ため息をついた。



「…何で俺が、お前らにまで奢らなきゃいけないんだよ…。
つーか、今日は真鍋の奢りだろ?」


『…勘弁してくださいよ、社長~!
俺だって、給料日前なんすよ?』


「知るか!
だったら、仕事休まなきゃ、弁当だってあっただろ?」


『そんなぁ~!』


悲壮感漂う真鍋の顔に、ルミは大爆笑だった。



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