粉雪2-sleeping beauty-
―ガチャ…

『…えっと…』


ドアを開けた瞬間、千里は戸惑いの表情を浮かべた。


真鍋は軽く会釈し、ルミは立ち上がった。



「…話したから。」


それだけ言った。



『…そっか。どこまで?』


荷物を置き、千里は煙草を咥えた。



「…大体全部。」


『早いね、相変わらず。』


諦めたように力なく呟いて、俺からライターを取り上げた。



『…あたしが居なきゃ、隼人は今も笑ってた…。』


「千里!」


ポツリと呟く千里を制止するように、俺は声を上げた。


そんな俺に、千里は困ったように笑いかける。



『…ご飯、何食べさせてくれるの?』


「…何でも良いよ、お前が決めろ。」


その顔から目を背けるように、俯いて歯を食いしばった。



だから俺は、怖かったんだ…。


またお前は、そんな顔をして自分を追い込むんだ…。



『…スンマセン、俺が強引に聞き出したんです…。』


「―――ッ!」


その瞬間、千里の顔色が変わった。


< 97 / 372 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop