腐っても、恋。
1.甘い、甘くない。
「当然だろ、」
それが俺の口癖のようになったこの頃。
…にもかかわらず常識を覆すような人物が突如現れた。
宇佐美仁、18歳。
この年にして別世界へ突き落とされかけているらしい。
なんなんだ、一体。
甘いものは苦手だって、言ってるだろ
短期間で大きく変化した脳内でぼんやり思い出すように考える。
あいつは本当に…クソ甘い。
性格でなく変な意味でもなく。
ほら見ろ、なんか花が飛んでるだろ?花が。
なんか纏ってんだろあいつ。
……幻覚だと?
この俺が?
いや、それはない、ないな。
兎に角、そもそもの事の発端はアレ。
九条のバカが俺を、とんでもない甘ったるさが漂う、あんな店に連れていったからだ。
最初はあとで軽く殴ってやろうと思ってた。
…最初はな。