腐っても、恋。
……最悪だ
とりあえず言っておきたい事は、俺にこういう嗜好はないという事だ。
偶には奢ってやると言われた挙げ句の果てに待っていたのがコレ。
正直財布の中身が今現在乏しい俺は、まんまと奴の趣味に付き合わされただけだ。
甘ったるくて、反吐が出そうな空気。
コイツは俺をからかっているに違いないと思った。
俺が嫌がるのは目に見えていた筈だからな。
或いは人をその道に引きずり込みたい程メイドが好きなのか。
正直なところ俺は女特有の、あの媚びるような声がどうにも好きになれなかった。
勿論ここは風俗店ではないにしろ、そういう風にしか見えない。
詰まるところ、あまり気が長い方ではない自分を、苛立たせるには充分すぎる仕打ちだと思う。
のこのこと九条になんか付いて来るんじゃなかった。
俺は何度目かのため息をつきながら、とんでもなく後悔した。
そして
この後も後悔することになる事になることなど…
この時の俺には知る由もなかったのだ。
そりゃあもういろんな意味で。