腐っても、恋。
今日は朝からバイトに出れる筈だったのに、とんだ誤算だわっ

レイナに入ってもらったから良かったけど…

早く着替えなきゃ…!

「姫ちゃーんっ、もう入れる?」

「はぁいっ、すぐ行きます!!」

ドアの前にある鏡で笑顔を作って行く。

ウィッグで少し長くなった髪を整えた。

笑顔は命!


特にこの仕事では。

店内を見渡すと、いつもの金髪頭が見えた。

「姫ちゃーんっ!」

「九条様っ」

2度以上相手をした客なら覚えてる。

来る度に相手の好む食べ物、対応、キャラを覚えていく。

気にいられればこっちのものだ。


…と、今日はいつもの彼の向かい側に、黒髪の友人らしき人が足を組んで座っていた。


(初めてのお客様だわ…)

クールな印象を与える鋭い瞳の彼は、なんだかとてもこの場所には不釣り合いな気がした。


「おかえりなさいませ」


にこりと笑っていつものセリフ。

第一印象はとっても大事!



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