開かない扉
千代はナオとゼアといっしょにカルフ山へと出かけた。

「山って・・・これじゃ、ほんとに小学生の遠足コースね。なんか物足りない気がするわ。」


「やっぱりそう思う?」


「うん、思う思う!それに、今歩いてるこの道路のもっと先で事故が起きるんでしょ。

なんかそんな危険な感じはぜんぜん・・・・・ん?」


ゴォォォォォォォォオオオオオオオオオーーーーーー!


千代たちの前方から大岩が転がってくるのが見えた。


「岩だと!・・・」


「私にまかせて!はぁぁーーーー!ちむ、りふ、る、らべ・・」


転がってくる大岩が風に巻き上げられ転がるコースが変わった。

「千代ちゃん、やるじゃない。」

「えへへ。こういうときじゃないと活躍できないじゃない。私の魔法って。」


そして、千代たちはいちばん事故が起きている現場へとたどり着いた。


「だだっ広い広場よね。お弁当食べたりするのかしら」

「そうよ。前にお弁当作って、先生と来たことあるんだもの。」

「ゼア・・・そういうことはな。」


「先生とゼアさんってやっぱりそういう関係?」

「ちがう!絶対違うから。僕が気分転換に来たら、勝手にお弁当持ってついて来ただけだから!」

「まぁ、先生ったらはずかしがっちゃって。・・・・・あれ?何、人?」


広場の一番奥から、こっちに向かって走ってくる人物がいた。

それも、その人物はまるでテレポートでもしているかのように、肉眼で見えたり、消えたりしながら、どんどん千代の方へと近づいてくるのがわかる。


「はっ、千代ちゃん、危ない!」

次の瞬間、姿を現した男はナオの魔法で張ったバリアに押し戻されていた。


「先生!123で避けて。私がやっつけるわ。」

そう、千代が叫ぶと、バリアに押し戻された男は両手をあげて跪いた。
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