開かない扉
「そういえば、そうだね。・・・あはは・・・」
ナオがにっこり笑って答えると、オーヴィアは首を振った。
大きな魔法を使おうとしなくてもいいんです。
魔法の書物を読むことができたのなら、使う魔法は小さなことをする魔法でいいんです。
「具体的に、小さなことって?」
「そうですねぇ。生活をほとんど魔法ですすめていくのです。
お茶をいれることも、遠くのものを手元へ持ってくることも。靴を履いて出かけることや
ベッドメイキングしたりするとかもいいですね。
とにかく、生活全般を魔法を使って過ごすのです。」
「へぇ。まるで魔女っ子千代ちゃんだ・・・」
「先生、ツッコミが時代がかってますよ。」
「うう・・・そうか。」
そういって、ナオは千代の方を見ると千代は唇をかみしめて、手は小刻みにふるえているように見えた。
「千代ちゃんが嫌だと思うことは、やらなくてもいいんだよ。」
「えっ!魔法の素質がこんなにある人は他になんてめったに見つかるものじゃありませんよ!
化け物を封じなければ、この世界もろとも、私たちは・・・」
オーヴィアは声をはりあげたが、ナオはきっぱりと言葉をさえぎった。
「千代ちゃんに苦しい思いをさせてまで、生き残ろうとは思わないね。僕たちは。」
ゼオも隣で笑顔でいる。