開かない扉
「はっ・・・すみません、私としたことが神に仕える身のくせに修行がたりませんでした。申し訳ない。
ほんとにすみません。千代さん。
化け物を小さなあなたひとりに押しつけるなんて考えた、私の心はなんとあさましいことか・・・」

謝罪の言葉を言いながらオーヴィアは千代に近づいた。


「まぁまぁ、そのくらいでいいじゃありませんか。
それにしても、化け物だのこの世界が滅びるだの、本当なんですか?
いつかは元の世界にもどれるものだと信じて、みんな生きているというのに。」


ゼオはオーヴィアと千代の間に割って入った形でそう言った。

そして、ナオも千代の側に寄る。



うつむいて謝罪を述べていたオーヴィアは口元にうっすら笑みを浮かべていた。

そして次の瞬間、地面が揺れ始めた。



「あぅ、これじゃ歩くこともできない!」

「きゃぁ!!」

「先生、来ます!地面の下から・・・まさか化け物!」

「なんだと!」



オーヴィアから何とか距離をとって3人が振り返ると、そこには大きなトカゲの化け物が暴れていた。

そして、トカゲは尻尾で岩を千代めがけてとばしてくる。


「危ない!」

ナオはバリアを張って1つ目の岩を防いだが、日々の疲れもたまっていたのか、肩で息をしている。

「先生!大丈夫ですか。」

「ゼオ、千代ちゃんを連れて早く逃げろ。」

「先生、その体では・・・先生が。」

「いいから、早く逃げるんだ。わかってるんだろ?
アレの力の強さを・・・」

「はい。でも・・・先生を置き去りになんて・・・」


「先生、私やります。炎で倒しますから。」

「無理よ。さっきあなた大きな魔法使ったでしょ?あの怪獣は水を吐いてくるわよ。」


「え!?どうしてゼアさんそんなことわかるんです?」





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