開かない扉
リリルは魔法で、自分が経営しているブティックの男物の服を瞬間移動かマジックでも見てるかのような感じでナオの前に数着取り出した。

「リリルはもともと聡明な女性だったけど、魔法も大したものだね。
この世界は男の方が多いから、隣町じゃひっぱりだこなんじゃないのかい?」


「何いってるの?私はこのようなところにとばされてしまって、お兄様とも離れてしまってほんとに不自由で毎日泣いたのよ。
あなただっていないし、ならず者の餌食になっちゃうとマジ思ったわよっ!」


「そう。すごく苦労したんだね。」


「ナオに会えてほんとにうれしいわ。あっちじゃ、兄さんのお店のお客の手前、こうやってそばに寄って話すこともままならなかったけれど、こっちじゃ・・・うふっ」


「あのさぁ・・・こっちじゃ、僕はこのとおり回復魔法と合わせて医師免許とったんだ。
だから、昔のこととかは・・・」


「わかってるわよ。内緒にしておいてあげる。
そのかわり・・・私これから、ちょくちょく来るから。
食事やデートくらいつきあってもらってもいいでしょ?」


「えっ・・・僕はこのとおり、あまり休みはとれないんだけどねぇ。
さっきの山での怪我人も増えてるしねぇ。」


「デートくらいできるときにしておかないと、人生あきらめないといけなくなるわよ。」

「どういうことなんだ?」


「さっきのやつ、神官いたじゃない?
あいつ、1人じゃないのよ。私の店のスタッフや、魔法能力者の知り合いに調べてもらったんだけど、ああいう神官はたくさんいるらしいわ。

どんな魔法だか、術だか、得体のしれない力を使ってるのかはわからないけど、大トカゲみたいな化け物をあちらこちらに出現させてるみたいなの。」


「いったいあの神官はどういう神官なんだ。神がいるっていってたけど、神が化け物を使ってこの世界を滅ぼそうとしているなんて・・・ほんとに神なのか?」



リリルとナオがそんな会話をかわしていると、勢いよくドアからエルロが飛び込んできた。




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