開かない扉
ナオが周囲をながめると、部屋までたどりついた者たちが皆、目をこすりながら起き始めていた。

「みんな眠らされていたというのか・・・?」

そして、千代もあくびをひとつして、目をあけた。


「う・・・・あ・・頭が重い・・・」


「千代ちゃん、大丈夫?僕の声がきこえてる?」


「せんせ・・い?目が・・・かすんでて・・」


「あ、無理に見ようとしないで。ちょっとそのまま静かにしてて。魔法かけるよ・・・・・はぃっ!」


「ナオ先生。・・・あれ・・・ここはどこ?牢屋?どうして、私はこんなとこにいるの?


「ここは診療所の地下病室だよ。とりあえず、食事しにいこう。それから、千代ちゃんも他のみんなにも、僕が知りえた話を説明することにするよ。」


千代はナオのぎこちない態度やゼオたちも寝ていたことなどから、ただならぬことが起こったのだと思った。


それと、ゼオたちが千代が青白く光っていたと証言していることにも、どういうわけなのか早く知りたかった。



「もうみんなそろったかな?じゃ、何が起こったかを説明する。

じつは千代ちゃんの肉体と意識に神様がとりついた。」


「は・・・・・?」


千代もゼオたちも、あっけにとられた表情をしている。

そして、千代は自分で、頬をパチパチ手でたたいてみる。


「いったぁ~い。」


「なにやってんのよ。」


「もしかして、こういう会話をしている夢を見てるのかと思って。」

ゼオと千代は顔を見合わせたあと、ナオの顔を見る。


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