開かない扉
すると、リリルは仕事をしなきゃならないからと、すばやく帰り仕度をして、ナオにいった。
「また来るわ。・・・安心しなさいな。あなたには私がついてるんだから、ねっ」
ナオが返事をする間もなく、あっという間に見えなくなるスピードでリリルは隣町に向かって走っていってしまった。
「先生も大変だな。昔を知ってるやつがいるってのは。」
「まぁね。悪いコじゃないんだけど・・・」
そんな何気ないナオの一言が千代にとっては、少しつらかった。
自分がこのままずっとナオの側にいることは、ナオがまた危険にさらされてしまうことになるのではないか?
リリルならナオを守れる実力があるのだろうが、このままでは2人が結婚するにも邪魔になるのではないか?
そんなことが頭をよぎった。
こんなときに、私が私にとりつく神様とお話ができれば・・・。
そうすれば、ナオ先生に手間をかけさせずにすむのに。
黙ったまま自分の部屋へもどっていく千代であった。