開かない扉

((千代さんは何をするつもりなんだ?・・・いや、考えがあってのことだよな。
俺は俺のできることをやるまでだ。))


千代の合図でもってオミは残った化け物に斬りかかった。

オミの放った刃が化け物に当たる瞬間に、化け物は凍った。


「そうか!」


オミの一撃は化け物をこっぱ微塵に砕け散らせた。

そして、すぐに粉々になった肉片は炎で完全に炭となった。


化け物はオミと千代の攻撃によって、退治できたものの、住宅街は人が住めるところではなくなっていた。


ナオは簡易避難所で怪我人の治療にあたっていた。

「先生!アパートの人たちは?」


「うん、見ての通り住まいはひどい有様だけど、住民は無事だよ。
化け物の退治はその感じなら楽勝だったようだね。」


「まあね。私だけだったらトドメがさせなかったんだけど、オミさんが手伝ってくれたから復活することなく、退治できたよ。」


「そっか・・・。すまなかったね、オミくん。千代が来るまでだって、ひきつけていてくれて大変だったろ。
怪我してないのか?」


「俺はかすり傷ですよ。それより、毒液を避けるときに千代さんを押してしまったので、千代さんの足が・・・」


「あ~大丈夫よ。オミさんが押してくれなかったら、私は溶けちゃってたんだし、擦り傷くらい・・・!」


「かなり血が出てるんだけど・・・。」


ナオにそういわれて、千代は青くなって座り込んでしまった。


「くくく・・・。しょうがないな。応急手当して、あとは診療所に帰ってからしっかり診るから。」


「あれ、先生、ここの人たちの治療はもうしないの?」


「ああ、他の外科医も集まってるから、もう帰るよ。・・・じつをいうとさ、救助するときのバリアとか出血ひどい人の応急手当で魔力がね・・・」
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