開かない扉
ナオが千代をおぶって診療所まで帰る途中、空はもう薄暗くなっていた。
そして、千代のいた世界と同じように、この世界でも流れ星が流れた。
「あ、流れ星・・・・!外国に来ただけのような気がする。
でもここは異世界なんだよね。
家族もいない。私これから、どうしよう・・・。
この世界にどんな仕事があるのかもわからないし、私にも医療魔法とかできればいいんだけど、できないし・・・。」
「えっ!今、医療魔法ができないっていったね。
本は読めたんだね。全部読んだんだね。・・・・・すごい・・・。
千代ちゃんすごいよ。すべて読めるなんて。」
「読んだ?わからないわ。でも、わかるの、先生みたいな医療魔法は使えない。
炎とか風とか雷とか・・・私のできそうなのはまるで、みんなを破壊するためにする魔法ばかりだもの。やだ・・・。
怖いよ。びっくり人間ですって、人の前で魔法使って生きろってこと?」
千代はナオの肩へ置いた手に力をいれた。
「千代ちゃん・・・。おっ、また流れ星だ。
大丈夫、僕が雇ってあげます。な~んてね・・・。給料はほとんど払えないし、仕事はきついかもしれないけど、嫌じゃなかったら行きたいとこ見つかるまで、診療所にいて。
他にも個性的なスタッフはいるけど、いいヤツだから、君も手伝って。」
「優しいフリして私を売りとばしたりしない?」
「あははは。そんなことはしないよ。あの、流れ星に誓います。」
「嘘ついたら、針千本飲んでもらうから。」
「えーーーー!そりゃ、勘弁。あははは。ん?・・・・ち、よ・・」
「ZZZZZZZZ・・・」
「ちょっとは安心してくれたかな。」
ナオはのんびりした足取りで、診療所へともどっていった。
次章へ続く・・・