乱樹(らんじゅ)の香り
味
「麗、なんか、元気だね」
そう言ってきた、慧のほうには、何だか元気がなかった。
「慧は元気ないね。っていうか、生気がない」
麗が隣に座ると、慧は、はーっと深くため息をついた。
「そう?そうかもね」
「どうしたの?」
「フラれた」
「え?」
そんなこと、苦にするヒトだったっけ?
麗は疑ってしまう。
「こんなコタえるとは思ってなかった」
天罰、というか。
ちょっと気の毒というか。
けれど、麗はどっちも口にしなかった。
慧のほうが、勝手に吐露する。