乱樹(らんじゅ)の香り
「相手、瞬、なんだ」

麗は、耳と、慧の神経を疑った。

「瞬って。

瞬がトモダチを彼女にするわけないじゃない」

慧は驚くように麗を見た。

「何で?

何で、そんなこと分かるの?

そう、瞬にも言われたわ」

そう、なんだ。

「何でかな。

分かりたくないけど、分かるっていうか。

女なんか、わりと誰でもいいって感じじゃない。

誰でもいいってことは、どこにでも相手はいるわけで。

それなのに、わざわざトモダチの中からは選ばないんじゃ、ないかと」

「どうして?」

「面倒だからだよ。

自分の悪魔ぶりもバレてることだし」

慧は、じっとりと麗を見た。


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