乱樹(らんじゅ)の香り
「麗って、瞬のこと、理解出来てすぎ」

麗は、すぐに否定したかったけれど、慧の言うとおりな気がした。

と、その瞬が、隣に来た。

慧は代わりにさっと席を立って行ってしまう。

どうしよう。

麗は、慧についていくべきか迷ったのだけれど、瞬が話し出してしまった。

麗に、話しかけているのだ。

立ち上がるタイミングを、麗は失ってしまう。

「オレ、今、身の回り整理してるんだ」

「はあ。出家でもするの?」

「いまどき身辺綺麗にしないといけないような宗派があるか?」

「さあ」

「とにかく、オレは一週間以内に、フリーになる。

だから」

言葉を切るので、つい、瞬の方を見る。

「麗、オレの女になって」


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