乱樹（らんじゅ）の香り

麗にとっては、全開で迷惑な話なのだ。

兵庫や彼女の、邪魔をしたくない。

そこまでするのはイヤだ。

だいたい、兵庫に迷惑だと思われたくない。

だけど、勝手に突っ走りそうな慧を、無視するのも難しそうだ。

麗はそっと吐息をついた。

「わかった」

慧は、喜びの表情で、麗を見た。

この顔を裏切るのは忍びないけれど、嘘をつこう。

適当に時期をみて、玉砕したことにすればいい。

「でも、ダメだったら、しばらくそっとしておいてね」

できたら卒業まで。

「わかった。

報告、楽しみにしてるわよ」

ごめんね。慧。