乱樹(らんじゅ)の香り
「彼女いるの知ってたから、ずっと黙ってるつもりだったんだ。

からかうつもりなんかないから」

兵庫は信じられないモノを見るように、麗を見た。

今日は、よく、こんな目で見られるな。

「あ、わかってるから、フラないでね。

わかってるのと、はっきり言われるのじゃ、ダメージが違うから。

あたしにトドメ刺したくなかったら、何にも言わないで」

麗は逃げようと思った。

けれど、

瞬の入れ知恵が、頭をよぎってしまった。

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