乱樹(らんじゅ)の香り
「やられた?」

驚いている麗の目を、兵庫は伺った。

「麗も騙されたんだ」

「騙された?」

「瞬はどこに行ったの?」

「忘れ物だって。先に行っててって」

「忘れ物?どこまで取りに行ったんだ?」

麗はハッとした。

電車でここまでやってきたのだ。

忘れ物なんて、あったとしても、あきらめる。

「やっと、瞬の策略だって気づいた?」

麗は、うなずく。

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