乱樹(らんじゅ)の香り
つぼみ
ピアスは、兵庫の部屋でお留守番させてもらえることになった。
けれど、兵庫はまだ、一緒にいる。
「彼女じゃなくても、彼女のこと知ってる誰かにばったり出くわしても知らないから」
「まさか」
なのに、
「おっ、タカトシじゃんっ」
兵庫は呼び止められた。
「わっ。快羅(カイラ)」
兵庫は本当に驚いて、目を見開いた。
カイラと呼ばれた彼は、すらりと背が高く、物凄くかわいい顔をしている。
兵庫に、かなり似た感じで、そのまま、滅茶苦茶整っていて、何だか、キラキラしている。
その彼が、兵庫を見つけて喜んだ後、麗に気付いた。