乱樹(らんじゅ)の香り
その日、麗は兵庫の部屋のドアの前にいた。
「で、何でわざわざここへ来たの?」
兵庫は少し困って麗を見ている。
「慶が言ってたから。
コレくれたひとと一回付き合わないといけないらしいから」
「・・・じゃ、どこか行く?」
「うん」
麗は笑った。
「けど、ちょっと待って。
カイラがもう少ししたら、ここに来るんだ。
ちょっと用があって。
それまで待ってて?」
仕方ない。
部屋に上がる。
けれど、玄関に靴のまま腰を下ろした。
「すぐ、来るんでしょ?」
「その、ハズ」