乱樹(らんじゅ)の香り
兵庫は、麗が嫌がってないか、目を覗き込んで確認しながら、頭を撫でた。

ゆるゆると掌を背中に這わせてその指先が、腰に触れる。

と突然兵庫は、ぴくりと体をこわばらせて動きを止めた。

「カイラの足音だ」

麗は兵庫の世界へしっかりとらわれていたことにハッと気づいた。

「ストッパー来たな、麗」

兵庫が残念そうに言った。

「来なきゃよかったのに」

麗が真面目に言ったので、兵庫はちょっと驚いた。

「今度はカイラの来ない時にきて?」

どこまで本気なのか、兵庫が言った。



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