乱樹(らんじゅ)の香り
果樹の香り
「あんた、このごろ、兵庫に似たいい男と付き合ってるってウワサだけど知ってる?」
瞬に言われて、麗は驚いた。
兵庫の傍に座りたかったけど、そのまま、瞬の隣に座ってしまう。
「知らない。
でも、それって、カイラのことかな」
「カイラ?」
「タカちゃんのイトコ」
「兵庫に似てる?」
「似てる」
麗の顔が笑いに崩れる。
「何か、よく捕まるんだよね。
おかげでタカちゃんに近づけないっていうか」
まず、兵庫のうちには、この頃ずっと入り浸っている。
あのまま居座ってしまうんじゃないだろうか。