乱樹(らんじゅ)の香り
一人、住人が増えたところで、窮屈になるような広さじゃないし。

「あ、麗怒ってる」

「怒ってるよ」

「邪魔されるんなら、いっそ、そいつに乗り換えりゃいいじゃん。

顔似てるんだし、それだけマメに邪魔できるんだ。

会ってくれるのもマメだぞ?

もったいぶってる兵庫と違うぞ」

マメ、か。

そうだな。マメかも。

でも似てりゃいいって訳でもない。

「あ、おはよ」

兵庫が通りかかって、二人を見つけた。

瞬に、それから麗に視線を送る。

柔らかい目線。

麗は瞬との間の席を一つ空けて座りなおす。

瞬は好きだけど、こういうこと言い出すと、面倒くさい。


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