乱樹(らんじゅ)の香り
ニッコリ笑って、がしっと麗を抱きしめた。

え…と。

麗はなんだかわからないながら、じっとしていた。

カイラは笑っているけれど、実は結構がっちりと捕まえられていて動けなかったのだ。

「カイラ、やめろ。

麗、嫌がってる」

麗の後ろで兵庫の声がした。

と麗の目の前で、カイラの口元が微妙に笑いに歪むのが見えた。

あ、カイラ喜んでる。

コイツ、タカちゃんのこと試して遊んでるな。

麗にはそれがわかってしまった。

カイラの視線が麗に降ってきて、カイラは、麗の怒りに気づく。

それでも、やめない。

カイラは麗を捕まえたまま逃げ出した。

「あ、待て、カイラ」

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