恋しぶきプラス〜先生が描いた夢〜
act13:別れ
・離任式
これで良かったんだ…。
莉央にとっても、俺にとっても。
そう、自分に言い聞かせながら、俺は慣れないネクタイを締めた。
「渡先生…」
指示された通り、体育館の入口の前で待っていたら、井上先生に話しかけられた。
――4月1日。
まだ朝晩は風が冷たいが、昼間はかなり暖かくなった。
スーツ姿の井上先生は、顔中に流れ出す汗をハンカチで拭きながら俺の横に立った。