幻視痛
最初の数分間。
俺達は喋るわけでもなく、ただぼーっとしていた。
気まずい…。
ただでさえ知らない者同士なのに、お互い何も話さず、ただいるだけのこの空間が、俺にとっては何よりも窮屈だった。
『お前、名前は??』
最初に口を開いたのは、やはり彼女だった。
『え!?あ、俺佐倉圭一って言います。』
『ふーん。』
彼女はそれだけ言うと、ただ天井を見ているだけだ。
本当に。気まずい。
『あ、あのさ…貴方の名前は…??』
気安く名前なんて聞くな!!
そう言われるのを覚悟で聞いた。
でも聞かなきゃ呼ぶとき困るしな…。