幻視痛
『でさ、圭一。さっき話してた美少女はお前の彼女さん??』
湊はニヤニヤしながら、俺の斜め後ろに視線を移した。
美少女とは…梨音の事だろう。
俺がクラスで話した女子は梨音だけだし、外見は一応美少女に入るしな。
『彼女じゃねぇよ。俺、入学式遅刻して出るのめんどくさくてさぁ。踊場でサボってたの。そこで知り合った子。』
俺は湊に梨音を紹介しようと、後ろを振り向いた。
梨音はなんか難しそうな顔をしながら、入学式のパンフを読んでいた。
『りーお!!ちょっといいか??』
『なぁに??圭一君。』
………はい??
今………なんて??
気のせいだろうか。
今梨音が、女の子らしい口調で話し、尚且つ俺を君付けで呼んだような…。
見ると梨音は、天使のような笑顔を浮かべながら、こっちに歩いてきた。
『あら、この人圭一君のお友達??』
あらって………。
どうしたんだ、こいつ。