幻視痛

そんな俺をよそに、二人はたわいもない話をしながら談笑している。


10分くらいしてからだろうか、湊の携帯に着信が入った。


『母さんからだ。俺ちょっと電話してくるな。』


“もしもし”と言いながら、湊は廊下に出て行った。


『あー疲れた。あれ、お前の友達なんだな。』


………出たな、本性が。


『お前さ、俺と湊とで随分態度が違うんだな。』


横で大あくびをしている梨音に問うと


『当たり前だろ。初対面で素なんか出せるか。』


しれっと、そう言いやがった。


俺には最初から横暴な態度だったくせに!!!


そう言ってやりたがったが止めといった。


なんとなく。いや、絶対。
梨音には勝てない気がする。


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