幻視痛
『圭一!梨音!ごめんなぁ、電話長引いちゃって。』
俺達二人の間に流れる、微妙な空気を消してくれたのは、電話が終わって戻ってきた湊だった。
『おかえりー湊君。今ねぇ、部活入るかって話してたんだよ。』
いや、そんな話してねぇし。
しかも今さっきまで俺の机に座って足まで組んでいたのに、いつの間にか俺の横に立ってやがる。
意地でも湊の前では素を出さないつもりだな。
『あぁ、部活かぁ。俺はサッカーかな。中学もやってたし。お前らは何か入るの??』
そう言えば、湊は小学校の頃サッカークラブに入ってたっけ。
ボールを蹴りながら校庭を走る湊の姿を思い出した。