幻視痛
『圭一、剣道やってたんだ。小学校の頃、木の棒振り回してたもんな。なんか似合うわ。』
木の棒って…。確かに振り回してたけど。
『梨音は部活入るのか??』
湊は視線を梨音に移して聞いた。
こいつの事だから、めんどくさいって言いそうだけど…。
湊の前ではそれは言わないか。
『部活はしないかなぁ。バイトしてお金貯めたいし。』
笑ってそう答えたつもりだろうけど、俺にはこの時の梨音がさっきの寂しそうな顔に見えた。