幻視痛
桜の花びらが舞う校庭のど真ん中を、今俺はグダグダ歩いている。
あれから駅まで走って電車に乗ったはいいが、なにを思ったのか電車の中で爆睡。
5駅も寝過ごし、慌てて戻ってきたら、いつの間にやら9時半を過ぎていた。
校庭の端にある体育館からは、優雅な曲が流れている。
式はとっくに始まっているだろう。
式の途中に、しかも主役ともいえる新入生がコソコソ入っていくのは恥ずかしい。
まぁ、式に出ても校長やらの長い話で退屈するだけだし、だったら出なくてもいいか…。
そう思った俺は、式が終わるまでどこかに身を寄せる事にした。