君じゃないとダメなんだ


「俺はお前やないと嫌やねん」


わたしのほっぺを両手で触って
ぐいっと顔を上げられた。

「別れには…

何か意味あるくらい…
最初からわかってたで?」


目をまん丸くするわたし。

「へ…???」

「別れたかったら
普通はあんなに泣かん。

本間は泣くくらい
別れたくなかったんやないん?」


図星をつかれてドキッとした。


悠は話し続ける。

「別れてから…考えてた。

別れの意味を…

せやないと、祥子の気持ちが
わからんままになるから。

わからんままで
やり直しても意味ないな
って思ったから。」


悠…。

じゃあ…別れてから

ずっとわたしのことを

考えてくれてたの…?



ごめん、悠。

苦しめてしまったよね。

わたしのせいで…


「好きやから…考えてまう。」


ほっぺから手を離して
自分の前髪をくしゃっとした。

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