君じゃないとダメなんだ



黒板におっきく書かれた

“島田茜淫乱女!”

という文字。

黒板中に書かれた茜に対する中傷。

「誰がやったのよこれ!!」

わたしは教卓を叩いてクラス中を睨んだ。


クラスの大半は
首をかしげたり、振ったり…。
他の人たちは
関わりたくないからか目を反らす。
筆跡からしてわかるのは
確実に女だってことくらい。


「意味わかんないんだけど…。」

怒りと震えが止まらない。

書かれている内容が残酷すぎる。

本当に同じ人間?って思うくらい。


物音で後ろに振り向くと
悠が何も言わないで
黒板を消しはじめた。

「悠っ……」

わたしも悠と一緒に
黒板を消し始める。



消し終わったあとに
悠はそのまま廊下へと
出ていってしまった。


悠は何で何にも言わないの?

どうでもいいのかな…?


わかんない…


わたしは教室を後にして
悠の後を追いかけた。


< 229 / 232 >

この作品をシェア

pagetop