君じゃないとダメなんだ
遠くで悠を見つけた。
「ぅ…ゅう……待って悠っ!」
悠は立ち止まって
こっちを振り返り
わたしに優しい笑顔を向けた。
「ハァ…ハァ…やっと追いついたぁ」
悠はわたしの手を引き
そのまま歩き出した。
?
よくわかんないけど
何も言わず悠についていった。
一段…また一段、
階段を上っていって
たどり着いた場所は
立ち入り禁止の屋上。
キーンコーンカーンコーン
予鈴のチャイムが鳴り響く。
悠はわたしを見て
両手を肩に置いた。
「ゆう…?」
「大丈夫やからな!」
「えっ…?」
わたしの頭は真っ白になる。
何を?茜?わたし?
「あんな中傷気にせんでええ」
……………。
わたしは黙り込んでしまった。
「でも……ひどいよあんなの‥」
あれをもし茜が見てたら
かなりショックを受けると思う。
いつも喧嘩腰だし
女も泣かしたことあるけど…
中身は普通の女の子なんだよ…?
「茜んとこ行こや!」
そう言い出した悠。
「え…?」
「犯人探す前に
祥子が茜、守る番やん!」
ぁあ…そうじゃんか。
わたしがゆかりに
色々言われてたときは
そばに茜がずっといてくれた。
今度はわたしが守る番じゃん!!
「うん…行く!!」
そう決意したとき、
悠はわたしの手をとって
一緒に屋上をあとにした。
キーンコーン
本鈴が鳴り響いたけど
そんなことはお構いなしで
うちらは茜の家を目指した。