君じゃないとダメなんだ
ん?
あれ多分……祥子?
って奴やん。
俺との面識もないし
喋ったこともなかった。
“軽い女”って
俺の友達とかが
言ってたんを
なんか聞いた気がする。
確か今………
他校の奴と
付き合ってんちゃうん?
何なん?
…喧嘩でもしたん?
てか
何で1人で泣いてるん?
てか
覗きみたいにせんと
話しかけに行くべきなん?
……見ず知らずの奴に
何をしてんねん俺は。
初めて女の泣き顔見たから
なんかわからんけど焦った。
―ガタッ…
椅子を引く音が聞こえた。
びっくりしてもうて
反射的に隠れてまう俺。
なにしてん…俺は。
「なにやってるんだろう
…わたし。」
えっ何?聞こえたん?
俺は、また教室をのぞいた。
のぞいてみると
祥子が携帯を閉じて
机に顔を伏せて泣いていた。
「好きとか…
もう、わかんない。」
祥子はそう呟いた。