俺様プリンセス【BL】
「――じゃあ、昨日のこと、全部忘れちまったんだな」


「――えっ!?」


 き、昨日のこと、って!?

 俺、何やったんだ!?

 伏し目がちに視線を反らす彼は、ゆっくりと体を起こして、白いカッターシャツの襟元に華奢な左手を添えた。


「……ちょ、まさかっ!?」


「……忘れるなんて、ひどいよ。恭介」


 ぐ、と左手を下げて胸元を曝け出すもんだから、俺は思わず、「ごめんなさいっ!」って叫んで両手で自分の視界を遮った。


「…………」


「…………」


 しばらく続いた沈黙が気になって、そっと彼を見遣ると、同じ男だとは思えない白くて薄い胸は、白くて綺麗な肌だった。


「あっはははは!」


 ペットボトルを持ったまま腹を抱えて笑う彼。

 ――呆然とする俺。


「わ、笑うなよ! 俺は本当に……」


「男とヤッちゃったと思った?」


「……飲んだあとで見ず知らずのヤツが隣で寝てたら、そう思ったって仕方ないだろっ! お前、女に見えたし……」


 未だに曝されたままの胸に、目のやり場に困る俺は、一体何なんだ?

 それもこれも、きっと女顔のコイツの所為だ。

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