俺様プリンセス【BL】
「ヒメ?」


 視線をどこか遠くにやったかと思うと、俺から顔を背けて、ちっ、と舌打ちをした。


 何なんだ、急に!?


 俺が不信感を表すより早く、ヒメがベンチから立ち上がった。


「恭介、行くぞ」


 声を潜めたヒメに腕を引かれて、俺は訳も分からずに歩き出す。


「なぁ、ヒメ、どうしたんだよ」

「黙れ、喋るな」


 街灯を避けるようにして、ヒメは通路から芝生に乗り上げ、薄暗い茂み脇を歩いていく。

 ヒメが歩く度に、両足に巻き付いている金具がカシャカシャと音を立てた。

 歩く速度がどんどん速まって、走り出したときだ。


「ヒメノ!」


 背後から聞こえた男の声に、ヒメが突然立ち止まった。
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