俺様プリンセス【BL】
「そんなに信じられないんだったら……」


 俺がそこまで言いかけたとき、レジを待っている客の声が聞こえた。

 店に戻る先輩の後に付いていこうとしたら、ポケットの中の携帯が震えた。

 いつもだったら気にしないのに、この時だけは、何故かポケットから携帯を取り出してしまった。

 プライベートウィンドウに、陣くんの名前が表示されている。

 心の中で先輩に謝って、俺は急いで店の外に出た。


「もしもし?」

「陣です。あの――」


 陣くんの声が、緊張感を含んでいる。

 何だか嫌な予感がして、携帯を握る手に力が入る。


「――ヒメノ、そっちにいませんか?」
< 122 / 151 >

この作品をシェア

pagetop