俺様プリンセス【BL】
「アイツは……、俺も、バンドも、何もかもを裏切ったんだ……!」


 拳を握りしめて、思いの丈を吐き出すヒメが、本当に辛そうで。

 やっぱり聞かない方が良かったのだろうか、なんて、今更後悔したって遅い。

 自分に何が出来るかなんて分からないけど、せめて、ヒメの気持ちが少しでも軽くなるように。

 そんな風に思って、俺はヒメの手を取った。

 握り締めていた拳を開かせると、爪が食い込んだ痕が見える。

 頭を下げて顔を隠してしまったヒメが、俺の手を握り返してきた。


「俺も、朧も、お互い遊びのつもりだった。俺は、朧のギターが好きだし、アイツは俺の声が好きだって言ってくれた。メンバーとしても、友達としても、離れたくなかった。離れないように、繋がっていたかった……」


 ヒメの手は、前にも思ったけど、俺の手より全然華奢で。

 でも、女の子とは違う、少し骨張った感じだ。

 それでもその指は綺麗で、女の子に負けないくらい、爪の形が整っている。
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