俺様プリンセス【BL】
「やー……恭介ってイイヒトそうだったし」

「いい人も何もあるか。俺があの時どんだけびっくりしたか分かってるのか?」

「それは悪かったと思ってるよ。バーで会った時のこと、まさか恭介が忘れてるなんて思わなかったんだ」

「思わなかったからって……」


 呆れる俺に、ヒメは笑って誤魔化そうとする。


「や、だからさ。ごめん、て。つかホントに行くトコ無かったし、陣のところに戻ればソッコーで朧に捕まるから……でも、ライブあったから遠くには行けなくて……」

「お前、朧さんから逃げてた意味無いんじゃないのか?」


 どんなに朧さんを避けても、バンドのメンバーとして集まれば、必然的に朧さんと会う事になる。


「そこは、気持ちの問題! 俺だって、いつかはちゃんと話さなきゃならないの、分かってたし」


 本当かよ。

 分かってたなら、もっと早く、穏便に解決するんじゃないのか?


「俺、意地っ張りだから」


 んー、と声を出しながら伸びをしたヒメは、ベッドから立ち上がって俺の前に立つ。
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