俺様プリンセス【BL】
「ばーか。俺は恭介の一人や二人落とせて当たり前だっつーの」


 ベッドに膝を乗せてきたヒメに押されるがまま、俺はマットに背を埋めた。

 俺の上に乗ったヒメが、妖しく笑う。


「そこら辺の女なんかより、俺のが可愛いだろ?」

「自分で言うなよ……」


 長い髪が、俺の頬を擽る。

 睫毛の長い大きな瞳に正面から見詰められて、逃げられない。

 鼻頭がぶつかって、今にも唇が触れてしまいそうな距離。

 全身が心臓になったみたいに、鼓動が激しく脈打つ。


「――ありがとう」


 聞き間違いじゃないか、と思うくらい小さな声で言ったヒメが、勢いよく俺から離れていく。

 あまりのことに俺がベッドに倒れたままでいると、バタン、と扉を閉める音が聞こえてきた。

 どうやら、隣の部屋に逃げ込んだらしい。
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