俺様プリンセス【BL】
「……あの」


 そんな俺を現実に引き戻してくれたのは陣くんだった。


「すみません、恭介さん」


 部屋の手前まで来ていた陣くんは、肩を落として俺に謝る。


「いや、こっちこそ……逆にヒメを怒らせた、かな」


 俺がでしゃばったから、こんな結果になったのか?

 ヒメを呼ばなければ、ヒメに何か言わなければ、アイツは出て行かなかったのか?

 俺は、どうしたらいい?

 どうしたら、アイツは戻ってくる?


 っていうか。

 そもそも、俺は関係ないんだったな。




 ――あぁ。

 ――折角作ったパスタが冷めるじゃないか。
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