俺様プリンセス【BL】
 認めている部分、認められない部分。

 そういうのをしっかり理解している上でヒメを尊敬すると言える陣くんは、俺よりも精神的に大人に感じられた。


「あのヒメを尊敬ね」


 それでも俺は、信じられない気持ちで一杯だ。

 ヒメの一部分しか知らない俺だけど、ワガママで俺様ってだけで十分評価下がらないか?

 陣くんだって、ヒメの嫌いな所を言ってるし。

 ヒメの音楽的才能ってやつは、短所をカバー出来る程スゴイ、ってことなのか?


「恭介さんも、歌ってるヒメノを見れば分かりますよ。ヒメノは、本当に凄いんです」


 陣くんの表情が一瞬にして明るくなり、声も明らかに弾んでいる。

 どうやら、カバー出来ちゃうみたいだ。


「俺、ベースやってるんですけど――」


 陣くんは、上機嫌に語り出した。
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