俺様プリンセス【BL】
「いつもは朧さんが折れたり、ヒメノが言い包められたりしてどうにかなるんですけど、今回はどうも違うみたいで。朧さんが何を言ってもヒメノが聞く耳持たないんです」


 そんな状態の時に、俺と会って、俺んとこに転がり込んできた、と。

 何だ、俺ってかなりの被害者じゃねぇか。

 ヒメのワガママに付合わされてる、ってことだろ?

 それでも、何故かオレはヒメを受け入れている訳で。

 ひょっとして、俺ってMなんだろうか。


「バンドの練習はちゃんと来てくれるから、ライブはどうにかなりそうですけど、余りにも二人が険悪すぎて……ていうより、ヒメノが一方的に怒っているみたいなんですよね。怒ったまま歌うから、朧さんがキレて、ヒメノが逆ギレして、の連続で、このままバンドが解散になったらどうしよう」


 がっくりと肩を落とした陣くんは、声のトーンが落ちても話し続けた。


「ヒメノの居場所を知ってるのが俺だけなんで、朧さんの所に戻るように説得してたんですけど。さっき、バンドの練習の後にヒメノはまた朧さんと喧嘩して……俺、もうフォローできなくて……っ」

「陣くん……」


 俺は、なんて声を掛けて言いか分からず、口を噤んだ。
 聞きたいと言ったのは俺だけど、陣くん達の人間関係にまで口出しは出来ない。
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